原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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鳥取(兎・女側の問題)ではなく |
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亦見其鳥者。 | またその鳥を見たまへば、 | さてその鳥を御覽になつて、 |
於思物言而。 | 物言はむと思ほして、 | 物を言おうとお思いになるが、 |
如思爾勿言事。 |
思ほすがごと言ひたまふ事 なかりき。 |
思い通りに言われることは ありませんでした。 |
出雲(スサノ男側の問題) |
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於是 天皇患賜而。 |
ここに天皇 患へたまひて、 |
そこで天皇が 御心配遊ばされて |
御寢之時。 | 御寢みねませる時に、 | お寢やすみになつている時に、 |
覺于御夢曰。 | 御夢に覺さとしてのりたまはく、 | 御夢に神のおさとしをお得になりました。 |
それは | ||
修理我宮 如天皇之 御舍者。 |
「我が宮を、 天皇おほきみの 御舍みあらかのごと 修理をさめたまはば、 |
「わたしの御殿を 天皇の 宮殿のように 造つたなら、 |
御子 必眞事 登波牟。 |
御子 かならずま言ごと とはむ」 |
御子が きつと物を 言うだろう」と、 |
〈自登下 三字以音〉 |
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如此覺時。 | とかく覺したまふ時に、 | かように夢に御覽になつて、 |
布斗摩邇邇 占相而。 |
太卜ふとまにに 占うらへて、 |
そこで太卜ふとまにの法で 占いをして、 |
求 何神之心。 |
「いづれの神の御心ぞ」 と求むるに、 |
これはどの神の御心であろうか と求めたところ、 |
爾祟。 | ここに祟たたりたまふは、 | その祟たたりは |
出雲大神之御心。 | 出雲いづもの大神の御心なり。 | 出雲の大神の御心でした。 |