原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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又命詔。 何爲日足奉。 |
また命詔したまはく 「いかにして日足ひたしまつらむ」 とのりたまへば、 |
また 「どのようにしてお育て申そうか」 と仰せられましたところ、 |
答白。 | 答へて白さく、 | |
取御母。 | 「御母みおもを取り、 | 「乳母を定め |
定 大湯坐。 若湯坐。 |
大湯坐おほゆゑ、 若湯坐わかゆゑを 定めて、 |
御養育掛りを きめて |
宜日足奉。 |
日足しまつるべし」 とまをしたまひき。 |
御養育申し上げましよう」 と申しました。 |
故隨其后白以。 日足奉也。 |
かれその后の まをしたまひしまにまに、 日足ひたしまつりき。 |
依つてその皇后の 申されたように お育て申しました。 |
美豆能小佩者誰解(問掛け=謎掛け) |
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又問其后曰。 | またその后に問ひたまはく、 | またその皇后に |
汝所堅之 美豆能 小佩者 誰解。 |
「汝みましの堅めし 瑞みづの 小佩をひもは、 誰かも解かむ」 |
「あなたの結び堅めた 衣の紐は 誰が解くべきであるか」 |
〈美豆能三字 以音。(也)〉 |
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とのりたまひしかば、 | とお尋ねになりましたから、 | |
答白。 | 答へて白さく、 | |
旦波 比古多多須美智 宇斯王之女。 |
「旦波たにはの 比古多多須美智能宇斯 ひこたたすみちの うしの王みこが女、 |
「丹波の ヒコタタスミチノ ウシの王の女の |
名 兄比賣。 弟比賣。 |
名は 兄比賣えひめ 弟比賣おとひめ、 |
兄姫えひめ・ 弟姫おとひめ という |
茲二女王。 | この二柱の女王ひめみこ、 | 二人の女王は、 |
淨公民故。 | 淨き公民おほみたからにませば、 | 淨らかな民でありますから |
宜使也。 | 使ひたまふべし」とまをしたまひき。 | お使い遊ばしませ」と申しました。 |
然遂 殺其沙本比古王。 |
然ありて遂に その沙本比古さほひこの王を 殺とりたまへるに、 |
かくて遂に そのサホ彦の王を 討たれた時に、 |
其伊呂妹 亦從也。 |
その同母妹いろもも 從ひたまひき。 |
皇后も 共にお隱れになりました。 |