原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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爾追迫 其逃軍。 |
ここにその逃ぐる軍を 追ひ迫せめて、 |
依つて逃げる軍を 追い攻めて、 |
到 久須婆之度時。 |
久須婆くすばの 渡わたりに到りし時に、 |
クスバの渡しに 行きました時に、 |
皆被迫窘而。 | みな迫めらえ窘たしなみて、 | 皆攻め苦しめられたので |
屎出 懸於褌。 |
屎くそ出でて、 褌はかまに懸かりき。 |
屎くそが出て 褌はかまにかかりました。 |
故號其地謂 屎褌。 |
かれ其地そこに名づけて 屎褌くそはかまといふ。 |
そこで其處の名を クソバカマというのですが、 |
今者謂久須婆。 | (今は久須婆といふ) | 今はクスバと言つております。 |
又遮其逃軍以 斬者。 |
またその逃ぐる軍を遮りて 斬りしかば、 |
またその逃げる軍を待ち受けて 斬りましたから、 |
如鵜浮於河。 | 鵜のごと河に浮きき。 | 鵜うのように河に浮きました。 |
故號其河謂 鵜河也。 |
かれその河に名づけて、 鵜河といふ。 |
依つてその河を 鵜河うがわといいます。 |
亦 斬波布理 其軍士故。 |
また その軍士いくさびとを 斬り屠はふりき。 |
また その兵士を 斬り屠ほおりましたから、 |
號其地。謂 波布理曾能。 〈自波下五字以音〉 |
かれ、其地に名づけて 波布理曾能 はふりそのといふ。 |
其處の名を ハフリゾノといいます。 |