原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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此天皇之御世。 | この天皇の御世に | この天皇の御世に、 |
疫病多起。 | 「役病えやみ多さはに起り、 | 流行病が盛んに起つて、 |
人民死爲盡。 | 人民おほみたから盡きなむとしき。 | 人民がほとんど盡きようとしました。 |
爾天皇愁歎而。 | ここに天皇愁歎うれへたまひて、 | ここに天皇は、御憂慮遊ばされて、 |
坐神牀之夜。 | 神牀かむとこにましましける夜に、 | 神を祭つてお寢やすみになつた晩に、 |
大物主大神。 | 大物主おほものぬしの大神おほかみ、 | オホモノヌシの大神が |
顯於御夢曰。 | 御夢に顯はれてのりたまひしく、 | 御夢に顯れて仰せになるには、 |
是者 我之御心。 |
「こは 我あが御心なり。 |
「かように病氣がはやるのは わたしの心である。 |
故以 意富多多泥古而。 |
かれ意富多多泥古 おほたたねこをもちて、 |
これは オホタタネコをもつて |
令祭我御前者。 | 我が御前に祭らしめたまはば、 | わたしを祭らしめたならば、 |
神氣不起。 | 神の氣け起らず、 | 神のたたりが起らずに |
國安平。 |
國も安平やすらかならむ」 とのりたまひき。 |
國も平和になるだろう」 と仰せられました。 |