原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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飛鳥の由来(隼人×明日か) |
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是以 詔曾婆訶理。 |
ここをもちて 曾婆訶里に詔りたまはく、 |
かくて ソバカリに仰せられますには、 |
今日留此間而。 | 「今日は此處ここに留まりて、 | 「今日は此處に留まつて、 |
先給大臣位。 | まづ大臣の位を賜ひて、 | まずお前に大臣の位を賜わつて、 |
明日上幸。 | 明日上りまさむ」とのりたまひて、 | 明日大和に上ることにしよう」と仰せられて、 |
留其山口。 | その山口に留まりて、 | その山口に留まつて |
即造假宮。 | すなはち假かり宮を造りて、 | 假宮を造つて |
忽爲豐樂。 | 俄に豐の樂あかりして、 | 急に酒宴をして、 |
乃於其隼人。 賜大臣位。 |
その隼人に大臣の位を賜ひて、 | その隼人に大臣の位を賜わつて |
百官令拜。 |
百官つかさづかさをして 拜をろがましめたまふに、 |
百官をして これを拜ましめたので、 |
隼人歡喜。 | 隼人歡びて、 | 隼人が喜んで |
以爲遂志。 | 志遂げぬと思ひき。 | 志成つたと思つていました。 |
爾詔其隼人。 | ここにその隼人に詔りたまはく、 | そこでその隼人に |
今日與大臣。 飮同盞酒。 |
「今日大臣と 同おやじ盞うきの酒を飮まむとす」 と詔りたまひて、 |
「今日は大臣と共に 一つ酒盞の酒を飮もう」 と仰せられて、 |
共飮之時。 | 共に飮む時に、 | 共にお飮みになる時に、 |
隱面大鋺。 | 面おもを隱す大鋺まりに | 顏を隱す大きな椀に |
盛其進酒。 | その進たてまつれる酒を盛りき。 | その進める酒を盛りました。 |
於是王子先飮。 | ここに王子みこまづ飮みたまひて、 | そこで王子がまずお飮みになつて、 |
隼人後飮。 | 隼人後に飮む。 | 隼人が後に飮みます。 |
故其隼人飮時。 | かれその隼人の飮む時に、 | その隼人の飮む時に |
大鋺覆面。 | 大鋺、面を覆ひたり。 | 大きな椀が顏を覆いました。 |
爾取出置席下之劍。 |
ここに席むしろの下に置ける 劒たちを取り出でて、 |
そこで座の下にお置きになつた 大刀を取り出して、 |
斬其隼人之頸。 | その隼人が首を斬りたまひき。 | その隼人の首をお斬りなさいました。 |
近つ飛鳥と遠つ飛鳥 |
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乃明日上幸。 |
すなはち明日くるつひ、 上り幸でましき。 |
かようにして明くる日に 上つておいでになりました。 |
故號其地。 謂近飛鳥也。 |
かれ其地そこに名づけて 近ちかつ飛鳥あすかといふ。 |
依つて其處を 近つ飛鳥あすかと名づけます。 |
上到于倭。 | 倭やまとに上り到りまして | 大和に上つておいでになつて |
詔之。 | 詔りたまはく、 | 仰せられますには、 |
今日留此間。 | 「今日は此處に留まりて、 | 「今日は此處に留まつて |
爲祓禊而。 | 祓禊はらへして、 | 禊祓はらいをして、 |
明日參出。 | 明日まゐ出でて、 | 明日出て |
將拜神宮。 |
神宮かむみやを拜まむ」 とのりたまひき。 |
神宮に參拜しましよう」 と仰せられました。 |
故號其地謂 遠飛鳥也。 |
かれ其地そこに名づけて 遠つ飛鳥といふ。 |
それで其處を 遠つ飛鳥と名づけました。 |
大阪の飛鳥が、近つ飛鳥、奈良の一般的な飛鳥が、遠つ飛鳥(明日香)。