原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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隼vs雀 |
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此時。 | この時、 | この後に |
其夫速總別王。 到來之時。 |
その夫ひこぢ速總別の王の 來れる時に、 |
ハヤブサワケの王が 來ました時に、 |
其妻 女鳥王歌曰。 |
その妻みめ 女鳥の王の歌ひたまひしく、 |
メトリの王の お歌いになつた歌は、 |
比婆理波 | 雲雀ひばりは | 雲雀は |
阿米邇迦氣流 | 天あめに翔かける。 | 天に飛び翔ります。 |
多迦由玖夜 | 高行くや | 大空高く飛ぶ |
波夜夫佐和氣 | 速總別、 | ハヤブサワケの王樣、 |
佐邪岐登良佐泥 | 鷦鷯さざき取らさね。 | サザキをお取り遊ばせ。 |
天皇聞此歌。 | 天皇この歌を聞かして、 | 天皇はこの歌をお聞きになつて、 |
即興軍欲殺。 |
軍を興して、 殺とりたまはむとす。 |
兵士を遣わして お殺しになろうとしました。 |
梯立ての倉椅山 |
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爾 速總別王。 女鳥王。 共逃退而。 |
ここに 速總別の王、 女鳥の王、 共に逃れ退きて、 |
そこで ハヤブサワケの王と メトリの王と、 共に逃げ去つて、 |
騰于 倉椅山。 |
倉椅山くらはしやまに 騰あがりましき。 |
クラハシ山に 登りました。 |
於是 速總別王 歌曰。 |
ここに 速總別の王 歌ひたまひしく、 |
そこで ハヤブサワケの王が 歌いました歌、 |
波斯多弖能。 | 梯立ての | 梯子はしごを立てたような、 |
久良波斯夜麻袁。 | 倉椅山を | クラハシ山が |
佐賀志美登。 | 嶮さがしみと | 嶮けわしいので、 |
伊波迦伎加泥弖。 | 岩かきかねて | 岩に取り附きかねて、 |
和賀弖登良須母。 | 吾わが手取らすも。 | わたしの手をお取りになる。 |
又歌曰。 | また歌ひたまひしく、 | また、 |
波斯多弖能。 | 梯立ての | 梯子はしごを立てたような |
久良波斯夜麻波。 | 倉椅山は | クラハシ山は |
佐賀斯祁杼。 | 嶮しけど、 | 嶮しいけれど、 |
伊毛登能爐禮波。 | 妹と登れば | わが妻と登れば |
佐賀斯玖母阿良受。 | 嶮しくもあらず。 | 嶮しいとも思いません。 |
故自其地逃亡。 | かれそこより逃れて、 | それから逃げて、 |
到宇陀之 蘇邇時。 |
宇陀うだの 蘇邇そにに到りましし時に、 |
宇陀うだの ソニという處に行き到りました時に、 |
御軍追到 而殺也。 |
御軍追ひ到りて、 殺しせまつりき。 |
兵士が追つて來て 殺してしまいました。 |