原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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次生 神名 |
次に生みたまふ 神の名は、 |
次にお生みになつた 神の名は |
鳥之 石楠船神 |
鳥の 石楠船 いはくすぶねの神、 |
トリノ イハクスブネの神、 |
亦名謂 天鳥船神。 |
またの名は 天の鳥船とりぶね といふ。 |
この神はまたの名を 天あめの鳥船とりふね といいます。 |
次生 大宜都比賣神。 〈此神名以音〉 |
次に 大宜都比賣 おほげつひめの神を 生みたまひ、 |
次に オホゲツ姫の神を お生みになり、 |
次生 火之 夜藝速男神。 〈夜藝二字以音〉 |
次に 火ほの 夜藝速男 やぎはやをの神を 生みたまひき。 |
次に ホノ ヤギハヤヲの神、 |
亦名謂 火之 炫毘古神。 |
またの名は 火ほの 炫毘古 かがびこの神といひ、 |
またの名を ホノ カガ彦の神、 |
亦名謂 火之 迦具土神。 〈加具二字以音〉 |
またの名は 火ほの 迦具土かぐつちの神といふ。 |
またの名を ホノ カグツチの神といいます。 |
因 生此子。 |
この子を 生みたまひしによりて、 |
この子こを お生みになつたために |
美蕃登 〈此三字以音〉 見炙而 病臥在。 |
御陰みほと やかえて 病やみ臥こやせり。 |
イザナミの命は 御陰みほとが燒かれて 御病氣になりました。 |
多具理邇 〈此四字以音〉 生神名。 |
たぐりに 生なりませる 神の名は |
その嘔吐へどで できた神の名は |
金山毘古神。 〈訓金云迦那。 下效此〉 |
金山毘古 かなやまびこの神。 |
カナヤマ彦の神と |
次金山毘賣神。 |
次に 金山毘賣 かなやまびめの神。 |
カナヤマ姫の神、 |
次於 屎成神名 |
次に 屎くそに成りませる 神の名は、 |
屎くそでできた 神の名は |
波邇夜須毘古神。 〈此神名以音〉 |
波邇夜須毘古 はにやすびこの神。 |
ハニヤス彦の神と |
次 波邇夜須毘賣神。 〈此神名亦以音〉 |
次に 波邇夜須毘賣 はにやすびめの神。 |
ハニヤス姫の神、 |
次於 尿成神名 |
次に 尿ゆまりに成りませる 神の名は |
小便でできた 神の名は |
彌都波能賣神。 |
彌都波能賣 みつはのめの神。 |
ミツハノメの神と |
次 和久產巢日神。 |
次に 和久産巣日 わくむすびの神。 |
ワクムスビの神です。 |
此神之子謂 豐宇氣毘賣神。 〈自宇以下 四字以音〉 |
この神の子は 豐宇氣毘賣 とようけびめの神といふ。 |
この神の子は トヨウケ姫の神 といいます。 |
故 伊邪那美神者。 |
かれ 伊耶那美いざなみの神は、 |
かような次第で イザナミの命は |
因生 火神。 |
火の神を 生みたまひしに因りて、 |
火の神を お生みになつたために |
遂 神避坐也。 |
遂に 神避かむさりたまひき。 |
遂ついに お隱かくれになりました。 |
〈自天鳥船 至豐宇氣毘賣神。 并八神〉 |
(天の鳥船より 豐宇氣毘賣の神まで 并はせて八神。) |
天の鳥船から トヨウケ姫の神まで 合わせて八神です。 |
凡 伊邪那岐 伊邪那美 二神。 |
およそ 伊耶那岐いざなぎ 伊耶那美の 二神、 |
すべて イザナギ・ イザナミの お二方の神が、 |
共所生嶋 壹拾肆嶋。 |
共に生みたまふ島 壹拾とをまり四島よしま、 |
共にお生みになつた 島の數は十四、 |
神 參拾伍神。 |
神 參拾みそぢまり 五神いつはしら。 |
神は 三十五神であります。 |
〈是伊邪那美神 | (こは伊耶那美の神、 | これはイザナミの神が |
未神避以前 所生。 |
いまだ神避りまさざりし前に 生みたまひき。 |
まだお隱れになりませんでした前に お生みになりました。 |
唯意能碁呂嶋者。 非所生。 |
ただ意能碁呂島は 生みたまへるにあらず、 |
ただオノゴロ島は お生みになつたのではありません。 |
亦 姪子與淡嶋 不入子之例也〉 |
また 蛭子と淡島とは 子の例に入らず。) |
また 水蛭子ひること淡島とは 子の中に入れません。 |