宇治拾遺物語 和歌一覧

概要 宇治拾遺物語
和歌一覧
全文

 
 宇治拾遺物語の和歌一覧、15巻197話中19首(和歌17、漢詩1、最後連歌1)。枕草子33首より少なく徒然草5首より多い。和歌は重んじる(貫之に言及)がそこまで熱心ではない著者と言える。話数と歌数は意図したものか。著名な諸作品は調節してあり(はっきり顕著なのは古今)、他作品と比較して特徴も出る。
 5・7・5で整え、先頭のリンクを原文の該当箇所と通じさせた。 
 
 

目次
巻-番号
1-10 秦兼久、通俊卿のもとに向かひて悪口の事 2
3-8 樵夫、歌の事 1
3-9 伯の母の事 2
3-10 同人、仏事の事 1
3-11 藤六の事 1
3-19 一条摂政、歌の事 2
5-12 大二条殿に小式部内侍、歌読みかけ奉る事 1
6-3 留志長者の事 漢詩
7-2 播磨守為家の侍、佐多の事 1
9-6 歌詠みて罪を免るる事 1
12-10 季直少将、歌の事 1
12-11 樵夫の小童、隠し題の歌詠む事 1
12-12 高忠、侍歌よむ事 1
12-13 貫之、歌の事 1
12-14 東人の歌よむ事 1
14-8 仲胤僧都、連歌の事 連歌

 
 

 

1-10 秦兼久、通俊卿のもとに向かひて悪口の事

1 こぞ見しに 色も変はらず 咲きにけり
 花こそものは 思はざりけれ
2 春来てぞ 人も訪ひける 山里は
 花こそ宿の あるじなりけれ
 
 

3-8 樵夫、歌の事

3 あしきだに なきはわりなき 世の中に
 よきをとられて 我いかにせむ
 
 

3-9 伯の母の事

4 匂ひきや 都の花は 東路に
 こちのかへしの 風のつけしは
5 吹き返す こちのかへしは 身にしみき
 都の花の しるべと思ふに
 
 

3-10 同人、仏事の事

6 朽ちけるに 長柄の橋の 橋柱
 法のためにも 渡しつるかな
 
 

3-11 藤六の事

7 昔より 阿弥陀ほとけの ちかひにて
 煮ゆるものをば すくふとぞ知る
 
 

3-19 一条摂政、歌の事

8 人知れず 身はいそげども 年を経て
 など越えがたき 逢坂の関
9 あづま路に 行きかふ人に あらぬ身は
 いつかは越えん 逢坂の関
 
 

5-12 大二条殿に小式部内侍、歌読みかけ奉る事

10 死ぬばかり 嘆きにこそは 嘆きしか
 生きて問ふべき 身にしあらねば
 
 

6-3 留志長者の事

11 今曠野中、食飯酒大安楽
獨過毘沙門天、勝天帝釋
 
 

7-2 播磨守為家の侍、佐多の事

12 われが身は 竹の林に あらねども
 さたが衣を 脱ぎかくるかな
 
 

9-6 歌詠みて罪を免るる事

13 年を経て 頭の雪は つもれども
 しもと見るにぞ 身は冷えにける
 
 

12-10 季直少将、歌の事

14 くやしくぞ 後にあはんと 契りける
 今日を限りと いはましものを
 
 

12-11 樵夫の小童、隠し題の歌詠む事

15 めぐりくる 春々ごとに 桜花
 いくたびちりき 人に問はばや
 
 

12-12 高忠、侍歌よむ事

16 はだかなる 我が身にかかる 白雪は
 打ちふるへども 消えせざりけり
 
 

12-13 貫之、歌の事

17 都へと 思ふにつけて 悲しきは
 帰らぬ人の あればなりけり
 
 

12-14 東人の歌よむ事

18 あなてりや 虫のしや尻に 火のつきて
 小人玉とも みえわたるかな
 
 

14-8 仲胤僧都、連歌の事

19 うへわらは 大童子にも 劣りたり
19-2  祇園の御会を 待つばかりなり