枕草子 和歌一覧 33首

清少納言の由来 枕草子
和歌一覧
全文

 
 清少納言『枕草子』の和歌一覧。和歌33+連歌3+今様1(源氏は和歌のみ)。
 5・7・5で整え先頭のリンクを原文の該当箇所と通じさせた。
 

 約320段のうち10段に1首程度で少ない。宇治拾遺197話・19首と似た割合。

 「春はあけぼの」など枕詞的な短いフレーズ・キャッチコピーが得意で、和歌は苦手という印象を受ける。
 

目次
能因 題(冒頭)
23段 20 清涼殿の丑寅の隅の 2  
34段 41 菩提といふ寺に 1  
82段 86 頭の中将の 1 連歌
84段 88 里へまかでたるに 2  
87段 91 職の御曹司におはします頃 3  
90段 94 宮の五節いださせ給ふに 2  
99段 104 五月の御精進のほど 3 連歌
106段 110 二月つごもり頃に 1 連歌
131段 134 七日の日の若菜を 1  
136段 139 頭の弁の、職に参り給ひて 2  
138段 141 円融院の御はての年 1  
182段 180 村上の前帝の御時に 1  
184段 182 宮にはじめて参りたるころ 2  
238段 215 細殿にびんなき人なむ   今様
239段 216 三条の宮におはします頃 1  
240段 99 御乳母の大輔の命婦 1  
241段 281 清水へこもりたりしに 1  
244段 225 蟻通の明神 1  
277段 255 御前にて人々とも、また 1  
301段 280 三月ばかり、物忌しにとて 3  
307段 287 右衛門の尉なりける者の 1  
308段 288 小原の殿の御母上とこそは 1  
314段 293 僧都の御乳母のままなど 1  
316段 297 ある女房の、遠江の子 1  
317段 298 びんなき所にて 1  
318段 296 まことにや、やがては下る 1  
計26     36  
※段数は三巻本基準、能は能因本対応段数(参考)
今様は7・5と5・7

 

 

 

23:清涼殿の丑寅の隅の

1 年ふれば 齢は老いぬし かはあれど
 花をし見れば もの思ひもなし
2 潮の満つ いつもの浦の いつもいつも
 君をば深く 思ふはやわが
 
 

34:菩提といふ寺に

3 もとめても かかるはちすの 露をおきて
 うき世にまたは かへるものかは
 
 

82:頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて

4 蘭省花時錦帳下
〔※蘭省花 時の錦の 帳の下〕
4-2 草のいほりを たれかたづねむ
 
 

84:里へまかでたるに

5 かづきする あまのすみかを そことだに
 ゆめいふなとや めを食はせけむ
6 くづれよる 妹背の山の 中なれば
 さらに吉野の 川とだに見じ
 
 

87:職の御曹司におはします頃、西の廂にて

7 ここにのみ めづらしとみる 雪の山
 所所に ふりにけるかな
8 うらやまし 足もひかれず わたつ海の
 いかなる人にも の賜ふらむ
9 山とよむ 斧の響きを 尋ぬれば
 いはひの杖の 音にぞありける
 
 

90:宮の五節いださせ給ふに

10 あしひきの 山井の水は こほれるを
 いかなるひもの とくるなるらむ
11 うはごほり あはにむすべる ひもなれば
 かざす日かげに ゆるぶばかりを
 
 

99:五月の御精進のほど

12-2 下蕨こそ 恋しかりけれ
12 ほととぎす たづねて聞きし 声よりも
13 元輔が のちといはるる 君しもや
 今宵の歌に はづれてはをる
14 その人の のちといはれぬ 身なりせば
 今宵の歌を まづぞよままし
 
 

106:二月つごもり頃に

15-2 少し春ある 心地こそすれ
15 空寒み 花にまがへて 散る雪に
 
 

131:七日の日の若菜を

16 つめどなほ 耳無草こそ あはれなれ
 あまたしあれば きくもありけり
 
 

136:頭の弁の、職に参り給ひて

17 夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも
 世に逢坂の 関はゆるさじ
18 逢坂は 人越えやすき 関なれば
 鳥鳴かぬにも あけて待つとか
 
 

138:円融院の御はての年

19 これをだに かたみと思ふに 都には
 葉がへやしつる 椎柴の袖
 
 

182:村上の前帝の御時に

20 わたつ海の 沖にこがるる 物見れば
 あまの釣して 帰るなりけり
 
 

184:宮にはじめて参りたるころ

21 いかにして いかに知らまし 偽りを
 空似ただすの 神なかりせば
22 うすさ濃さ それにもよらぬ はなゆゑに
 うき身のほどを 見るぞわびしき
 
 

238:細殿にびんなき人なむ

A 山の端明けし あしたより
B ならぬ名の 立ちにけるかな
 
 

239:三条の宮におはします頃

23 みな人の 花や蝶やと いそぐ日も
 わが心をば 君ぞ知りける
 
 

240:御乳母の大輔の命婦

24 あかねさす 日に向かひても 思ひ出でよ
 都は晴れぬ ながめすらむと
 
 

241:清水へこもりたりしに

25 山ちかき 入相の鐘の 声ごとに
 恋ふる心の 数は知るらむ
 
 

244:蟻通の明神

26 七曲に まがれる玉の 緒をぬきて
 ありとほしとは 知らずやあるらむ
 
 

277:御前にて人々とも、また

27 かけまくも かしこき神の しるしには
 鶴のよはひと なりぬべきかな
 
 

301:三月ばかり、物忌しにとて

28 さかしらに 柳の眉の ひろごりて
 春のおもてを 伏する宿かな
29 いかにして 過ぎにしかたを 過ぐしけむ
 くらしわづらふ 昨日今日かな
30 雲の上も くらしかねける 春の日を
 所がらとも ながめつるかな
 
 

307:右衛門の尉なりける者の

31 わたつ海に 親おし入れて この主の
 盆する見るぞ あはれなりける
 
 

308:小原の殿の御母上とこそは

32 薪こる ことは昨日に 尽きにしを
 いざ斧の柄は ここに朽たさむ
 
 

314:僧都の御乳母のままなど

33 みまくさを もやすばかりの 春の日に
 夜殿さへなど 残らざるらむ
 
 

316:ある女房の、遠江の子なる人を

34 誓へ君 遠江の 神かけて
 むげに浜名の はし見ざりきや
 
 

317:びんなき所にて

35 あふさかは 胸のみつねに 走り井の
 見つくる人や あらむと思へば
 
 

318:まことにや、やがては下る

36 思ひだに かからぬ山の させも草
 誰かいぶきの さとはつげしぞ