宇治拾遺物語 概要・目次

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宇治拾遺物語
概要
和歌一覧

 
 『宇治拾遺物語』の全文和歌一覧。15巻・序+197話・19首(漢詩1・連歌1含む)。鎌倉時代前期成立、著者未詳。
 

 教科書定番:児のそら寝(1-12)、絵仏師良秀(3-6)、検非違使忠明(7-4)
 

 ピックアップ:雀報恩の事(3-16)、小野篁広才の事(3-17)、敏行の朝臣の事(8-4)、晴明を試みる僧(11-3)、晴明、蛙殺す(11-4)、貫之歌の事(12-13)
 

 巻別目次:巻第一巻第二巻第三巻第四巻第五巻第六巻第七巻第八巻第九巻第十巻第十一巻第十二巻第十三巻第十四巻第十五
 

宇治+大納言

 
 :世に宇治大納言物語といふ物あり…天竺の事もあり、大唐の事もあり、日本の事もあり。それがうちに貴き事もあり、をかしき事もあり、恐ろしき事もあり、あはれなる事もあり、汚き事もあり、少々は空物語もあり、利口なる事もあり、様々なり。世の人これを興じ見る。十四帖なり…
 さるほどに、今の世にまた物語書き入れたる出で来たれり。大納言の物語に漏れたるを拾ひ集め、またその後の事など書き集めたるなるべし。名を宇治拾遺物語と言ふ。宇治に遺れるを拾ふとつけたるにや、また侍従を拾遺と言へば、宇治拾遺物語といへるにや。差別知りがたし、おぼつかなし。
 

宇治大納言+をかし

 宇治に大納言(金時)をかけ補遺するものと解く、その心は和を基調に古今東西集めてパーフェクト(完成=仏語でパフェ)とする。茶(抹茶)の心は、京のぼかした心で、お菓子とセットならすわり良い。おかしとは大真面目でなく笑って流せる話半分のこと(基本マジではないが、一見ではない人にはタマにマジな部分もある)。茶にマジになるのは京(都)の人では多分ない(利休は堺の商人、大阪城主秀吉はどこかの人)。和や道と言ってもそれは古来大国の精神に通じた人々が礎をなしてきた(本作でも最後の孔子問答は三回出てくる)。して本作冒頭にも道命とか和泉とある。しかし和泉式部はかませでしかなく、徹頭徹尾、坊の自己満に女子を利用(絵仏師の話も同じ)。つまりこれが最初にある時点で『宇治拾遺物語』は古文の本流・王道ではなく、上のパフェのようなもの。

 

巻第一
1-1 道命阿闍梨、和泉式部の許において
読経し五条の道祖神聴聞の事
1-2 丹波国篠村平茸生ふる事
1-3 鬼に瘤取らるる
1-4 伴大納言の事
1-5 随求陀羅尼、額に籠むる法師の事
1-6 中納言師時、法師の玉茎検知の事
1-7 龍門の聖、鹿にかはらんと欲する事
1-8 易の占ひして金取り出す事
1-9 宇治殿倒れさせ給ひて
実相房僧正験者に召さるる事
1-10 秦兼久、通俊卿のもとに向かひて悪口の事 ♪2
1-11 源大納言雅俊、一生不犯の鐘打たせたる事
1-12 児の掻餅するに空寝したる事
1-13 田舎の児、桜の散るを見て泣く事
1-14 小藤太、聟におどされたる事
1-15 大童子、鮭盗みたる事
1-16 尼、地蔵見奉る
1-17 修行者、百鬼夜行にあふ事
1-18 利仁、芋粥の事
巻第二
2-1 清徳聖、奇特の事
2-2 静観僧正、雨を祈る法験の事
2-3 同僧正、大嶽の岩祈り失ふ事
2-4 金峯山薄打の事
2-5 用経、荒巻の事
2-6 厚行、死人を家より出す事
2-7 鼻長き僧の事
2-8 晴明、蔵人少将を封ずる事
2-9 季通、事に逢はむと欲する事
2-10 袴垂、保昌に合ふ事
2-11 明衡、殃に合はんと欲する事
2-12 唐卒都婆に血付く事
2-13 成村、強力の学士に逢ふ事
2-14 柿の木に仏現ずる事
巻第三
3-1 大太郎、盗人の事
3-2 藤大納言忠家、物言ふ女放屁の事
3-3 小式部内侍、定頼卿の経にめでたる事
3-4 山伏、舟祈り返す事
3-5 鳥羽僧正、国俊と戯れの事
3-6 絵仏師良秀、家の焼を見て悦ぶ事
3-7 虎の鰐取りたる
3-8 樵夫、歌の事 ♪
3-9 伯の母の事 ♪2
3-10 同人、仏事の事 ♪
3-11 藤六の事 ♪
3-12 多田新発意郎等の事
3-13 因幡国別当、地蔵造りさす事
3-14 伏見修理大夫俊綱の事
3-15 長門前司の女、葬送の時本所に帰る事
3-16 雀報恩の事
3-17 小野篁、広才の事
3-18 平貞文、本院侍従の事
3-19 一条摂政、歌の事 ♪2
3-20 狐、家に火つくる

巻第四
4-1 狐、人に憑きてしとぎ食ふ事
4-2 左渡国に金ある事
4-3 薬師寺の別当の事
4-4 妹背島の事
4-5 石橋の下の蛇の事
4-6 東北院の菩提講の聖の事
4-7 三河入道、遁世の間の事
4-8 進命婦、清水参りの事
4-9 業遠朝臣、蘇生の事
4-10 篤昌、忠恒等の事
4-11 後朱雀院、丈六の仏作り奉り給ふ事
4-12 式部大輔実重、賀茂の御体拝見の事
4-13 智海法印、癩人法談の事
4-14 白河院、御寝の時物に襲はれさせ給ふ事
4-15 永超僧都、魚食ふ事
4-16 了延に実因湖水の中より法文の事
4-17 慈恵僧正、戒壇築きたる事
巻第五
5-1 四宮河原地蔵の事
5-2 伏見修理大夫の許へ殿上人共行き向かふ事
5-3 以長物忌の事
5-4 範久阿闍梨、西方を後にせざる事
5-5 陪従家綱行綱兄弟、互ひに謀りたる事
5-6 陪従清仲の事
5-7 仮名暦誂へたる事
5-8 実子にあらざる人に実子のよししたる事
5-9 御室戸僧正の事、一乗寺僧正の事
5-10 ある僧人の許にて氷魚盗み食ひたる事
5-11 仲胤僧都、地主権現説法の事
5-12 大二条殿に小式部内侍、歌読みかけ奉る事 ♪
5-13 山の横川の賀能地蔵の事
巻第六
6-1 広貴、妻の訴へにより閻魔王宮へ召さるる事
6-2 世尊寺に死人を掘り出す事
6-3 留志長者の事 ♪漢詩
6-4 清水寺に二千度参詣する者
双六に打ち入るる事
6-5 観音経、蛇に化し人を輔け給ふ事
6-6 賀茂社より御幣紙米等給ふ事
6-7 信濃国筑摩湯に観音沐浴の事
6-8 帽子の叟、孔子と問答の事
6-9 僧伽多、羅刹国に行く事

巻第七
7-1 五色の鹿の事
7-2 播磨守為家の侍、佐多の事 ♪
7-3 三条中納言、水飯の事
7-4 検非違使忠明の事
7-5 長谷寺参籠の男、利生に預かる事
7-6 小野宮大饗の事、
付 西宮殿富小路大臣等大饗の事
7-7 式成、満、則員等三人召され滝口弓芸の事
巻第八
8-1 大膳大夫以長、前駆の間の事
8-2 下野武正、大風雨の日法性寺殿に参る事
8-3 信濃国の聖の事
8-4 敏行の朝臣の事
8-5 東大寺華厳会の事
8-6 猟師、仏を射る
8-7 千手院僧正、仙人に逢ふ事
巻第九
9-1 滝口道則、術を習ふ事
9-2 宝志和尚、影の事
9-3 越前敦賀の女、観音助け給ふ事
9-4 くうすけが仏供養の事
9-5 つねまさが郎等、仏供養の事
9-6 歌詠みて罪を免るる事 ♪
9-7 大安寺別当女に嫁する男、夢見る事
9-8 博打の子、聟入の事

巻第十
10-1 伴大納言、応天門を焼く事
10-2 放鷹楽、明暹に是季が習ふ事
10-3 堀河院、明暹に笛吹かさせ給ふ事
10-4 浄蔵が八坂の坊に強盗入る事
10-5 播磨守の子、佐大夫が事
10-6 東人、生贄を止むる事
10-7 豊前王の事
10-8 蔵人、頓死の事
10-9 小槻当平の事
10-10 海賊、発心出家の事
巻第十一
11-1 青常の事
11-2 保輔、盗人たる
11-3 晴明を試みる僧の事
11-4 晴明、蛙殺す
11-5 河内守頼信、平忠恒を攻むる事
11-6 白河法皇、北面受領の下りのまねの事
11-7 蔵人得業、猿沢の池の龍の事
11-8 清水寺御帳給はる女の事
11-9 則光、盗人を斬る
11-10 空入水したる僧の事
11-11 日蔵上人、吉野山にて鬼にあふ事
11-12 丹後守保昌、下向の時致経の父に逢ふ事
11-13 出家功徳の事
巻第十二
12-1 達磨、天竺僧の行ひ見る事
12-2 提婆菩薩、龍樹菩薩の許に参る事
12-3 慈恵僧正、受戒の日延引の事
12-4 内記上人、法師陰陽師の紙冠を破る事
12-5 持経者叡實、効験の事
12-6 空也上人の臂観音院僧正、祈り直す事
12-7 増賀上人、三条の宮に参り振舞の事
12-8 聖宝僧正、一条大路渡る事
12-9 穀断聖、不実露顕の事
12-10 季直少将、歌の事 ♪
12-11 樵夫の小童、隠し題の歌詠む事 ♪
12-12 高忠侍、歌よむ事 ♪
12-13 貫之、歌の事 ♪
12-14 東人の歌よむ事 ♪
12-15 河原の院に融公の霊住む事
12-16 八歳の童、孔子問答の事
12-17 鄭太尉の事
12-18 貧しき俗、仏性を観じて富める事
12-19 宗行の郎等、虎を射る
12-20 遣唐使の子、虎に食はるる
12-21 或る上達部、中将の時召人に逢ふ事
12-22 陽成院、妖物の事
12-23 水無瀬殿、鼯の事
12-24 一條桟敷屋、鬼の事

巻第十三
13-1 上緒の主、金を得る事
13-2 元輔、落馬の事
13-3 俊宣、迷はし神にあふ事
13-4 亀を買ひて放つ
13-5 夢を買ふ人の事
13-6 大井光遠の妹、強力の事
13-7 ある唐人
女の羊に生りたる知らずして殺す事
13-8 出雲寺別当、父鯰になりたるを知りながら殺して食ふ事
13-9 念仏の僧、魔往生の事
13-10 慈覚大師、纐纈城に入り給ふ事
13-11 渡天の僧、穴に入る事
13-12 寂昭上人、鉢を飛す事
13-13 清瀧川の聖の事
13-14 優婆崛多の弟子の事
巻第十四
14-1 海雲比丘の弟子童の事
14-2 寛朝僧正、勇力の事
14-3 経頼、蛇に逢ふ
14-4 魚養の事
14-5 新羅国の后、金の榻の事
14-6 玉の価はかりなき事
14-7 北面の女雜仕、六の事
14-8 仲胤僧都、連歌の事 ♪連歌
14-9 大将、慎みの事
14-10 御堂関白の御犬、晴明等奇特の事
14-11 高階俊平が弟の入道、算術の事
巻第十五
15-1 清見原天皇、大友皇子と合戦の事
15-2 頼時が胡人見たる
15-3 賀茂祭の帰り武正、兼行御覧の事
15-4 門部府生、海賊射かへす
15-5 土佐判官代通清
人違ひして関白殿に参り合ふ事
15-6 極楽寺僧、仁王経の験を施す事
15-7 伊良縁野(の)世恒、毘沙門の御下文を給はる事
15-8 相応和尚、都卒天に上ぼる事
附 染殿の后、祈り奉る事
15-9 仁戒上人、往生の事
15-10 秦始皇、天竺より来たる僧禁獄の事
15-11 後の千金の事
15-12 盗跖(と)孔子と問答の事